消費者の多様化とその対抗策。
消費者は多様化しています。
そんな分かり切ったこと何を今さら…。と思うかもしれませんが、何が、なぜ、どう多様化しているのかを考えることで、消費者の心をつかむヒントになるのではないでしょうか。
※持論も混ざっております。読んだ方が何かを考えるきっかけになって頂ければ幸いです。
● 時代背景に伴う世代ごとの傾向
昭和を過ごした方たち。
情報源が新聞やラジオやテレビや地域コミュニティに限られていた時代で、多くの人が同じ方向を見ていました。
皆で同じ歌を唄い、同じような髪型・洋服で、同じ食べ物を食べる。 大衆◯◯と言われるものが多い時代で、多様化とは遠い存在です。
アラフォーくらい?から中年の人々。
インターネットの普及に伴い人々のニーズやライフスタイルが多様化。
膨大な情報源を得た人々は、趣味嗜好の広がりを見せ、数多くの◯◯系・◯◯派という、言わば“多様な人類”が存在しています。
20代前後からアラサーくらい?
小さい頃から様々な情報源に触れられる環境にあり、多くの文化やライフスタイルと共に育ち「多様」があたり前に。多様であることが普通な世の中で育ったため、彼らは自己の中にも様々なライフスタイルを持っています。
何年か前に、知り合いの学校の先生に「今の高校生は見た目が普通でまじめそうな子が暴走族だったりする」と聞いたことがあります。かつてなら見た目で分かったのかもしれませんが、多様の中で育った彼らにあっては、「バイクで暴走行為」と「髪型やファッション」というライフスタイルは別分野なのです。
〜10代は…?
LINEやSNSなどの登場によってコミュニケーション手段が多様化。
趣味嗜好だけでなく人との関わり方も多様化しています。また、小さな頃から自然とコミュニケーション能力がついており、驚くほどしっかりとした受け答えをします。
見知らぬ人と出会うことへの抵抗も小さく、ひょっとしたら数十年後には少子化問題は解決されるかもしれません。
● といいつつ、全ての世代が日々多様化している
高齢者が多様ではないかと言ったらそうではなく、今を生きる全ての人々は、時代背景を人格形成の基礎の一部として持ちつつも、自己の中に多様なライフスタイルを持つことに順応しつつあります。
消費者を分析する方法として、生活スタイルの側面から数種類のグループに分類する「ライフスタイル分析」という方法がありますが、もはや、それによって得られたグルーピングに共通の消費傾向や価値観を見出そうとすることはナンセンスかもしれません。
● 多様に対応せず、今こそエゴになれ
多様化が進むと同時に、様々なライフスタイルに対する抵抗感が無くなっているとも言えます。言い方を変えれば、商品・サービスのこだわりや独自の世界観に共感しやすい土台ができているということです。
ただし、ここで勘違いしてはいけないのが消費者のハードルが下がっているわけではないということです。むしろ、情報を得る手段が豊富な現代の消費者たちは、非常に厳しい目を持っています。中途半端なポジショニングが失敗を招くということはいつの時代も言われていることですが、年々その傾向は色濃くなってきているのです。
こんな時代だからこそ「御眼鏡に適う商品を提供する」というよりは、「わかる人にわかれば良い」くらいのエゴを持つべきです。
自分たちがどんなこだわりや世界観をもって商品・サービスを提供したいのかをとことん追求すべきなのです。そうして信じて突き進むと決めた根本部分やコンセプトは、途中で消費者の意見は聞く必要はありません。
明確な根本部分やコンセプトを描けていない人ほど第三者の意見を聞きたがる傾向にありますが、パッと聞いただけではその商品・サービスの全体を理解することは不可能で、表面的で無責任な意見しか返ってこないことを理解すべきです。
もちろん決めたこととやっていることがズレていないかを検証する作業は必要ですし、細かい機能性や品質などについては消費者の意見を聞くべきですが、これらは、あくまで自分たちがやりたかったことが誰の目から見てもわかりやすく実現できいるだろうかという検証作業です。
● エゴを揺るがない価値として理解してもらう
大事なのは、こだわりや世界観を確実に消費者に伝えることです。
揺るぎない根本的なこだわりを持ちつつも理解してもらえない。こちらは老舗の方の悩みとして多く見られますが、残念ながら黙っていてわかるほど消費者は賢くありません。
今一度、そのこだわりや価値を伝えることを考え直してみてください。
伝われば、きっと良き消費者の理解共感を得ることができ、自慢の商品・サービスのファンとなってくれることでしょう。