押してダメなら引いてみる

投稿者: カテゴリー: ブランディングマーケティング オン 2014/06/26

恋愛の駆け引きの方法としてよく耳にする「押してダメなら引いてみろ」。

相手に対してアプローチするだけでなく、たまに間を置くことで興味を持たせようとすることですが、マーケティングにもプッシュ戦略とプル戦略という考え方があります(売り込みと引き込み)。

プッシュ戦略は、メーカーが主導し、流通・小売業者に働きかけ、製品やサービスを積極的に売り出す戦略です。
一方プル戦略は、メーカーが消費者に直接、製品やサービスのイメージアップを図ったり、魅力を訴えることで知名度や好感度を上げ、最終的には消費者が指名買いするように誘導する戦略です。

例えば戦略会議ではこんな会話が想定できます。
 

●プッシュ戦略

メーカー担当者A:
「うちからの販売説明員をXX人確保して、販促ツールなどの販売支援も明示して、AスーパーかBスーパーの全店舗で大々的に売り出してもらうよう交渉しよう」
メーカー担当者B:
「では私はAスーパーに売り込んでみます」
メーカー担当者A:
「取り扱ってくれたときのメリット提示も忘れるなよ!その代わり良い場所確保してもらえ!」
 

●プル戦略

メーカー担当者A:
「まずCMや広告を打って、製品のイメージアップを図りましょう。消費者に好印象を与え、購買意欲を引き出すのです」
メーカー担当者B:
「了解しました。販売店からの発注に備えての準備もしておきます」
メーカー担当者A:
「頼んだわ。あと、販売店各社にうちのプロモーションプランを知らせておいて。効果を見越した発注を期待しましょう」

例としては極端で、実際はこのような積極的な売り込みと需要を生み出す仕組み作りを同時に考える必要があり、バランスの良いプラン立てが重要となります。

 

マーケティング用語としては、このようなメーカー・流通・消費者の関係性を含めた販売のしくみを示すことが多いかもしれませんが、このプッシュ戦略(売り込み)・プル戦略(引き込み)の考え方は、製造販売を全て自身で行うようなお店にもとても有効です。

例えば、ぶどう農家を営みながらジャムを作って販売していたとします。
プッシュ戦略は、
・「おいしいジャムですよ」と店頭で声を出して積極的に売る
・各家庭に訪問販売する
・通信販売のチラシを配る など

プル戦略は、
・ジャムを使ったレシピを公開し、用途を提案する
・近所のパン屋さんにパン教室を開いてもらって、消費の枠を広げる
・親子連れにブドウ畑でブドウを食べてもらい、良い素材だと理解させる
・厨房を見学してもらい、安全性などのイメージアップを図る など

このように、プッシュ戦略のみならずプル戦略を組み合わせることで、潜在的な需要を引き出し販売を強化することができます。
また、このような多角的な視点の活動は、新たなライフスタイルや根強いファン作りの一助となるのではないでしょうか。

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