宅配業者の運賃値上げをブランディング視点で考える。

投稿者: カテゴリー: その他ブランディングマーケティング オン 2017/02/17

 

間違いなく値上げチャンスだが一歩間違えると反感に。

Y運輸の値上げ。
昨今問題となった通販物量の増加による配達員の労働環境悪化に起因し、Y運輸は一般荷物を含めた全面的な値上げを検討しています。
ドライバーの負担が軽くなるなら…との声もありますが、果たして本当にそういうことでしょうか。

仮に、運賃の問題であれば、物量に応じた割引を甘んじて受け入れているY運輸と通販企業間の問題であり、単純に物量増加による労働環境の悪化であれば、労使間の問題であります。つまり、通販配達が安すぎるなら割引をやめ、労働環境をケアしたいのであれば、賃上げや人員の増加を図ればいいのです。
はっきり言ってなぜ、一般の荷物まで値上がりが及ぶのかは理解できません。
ただしこれは、一般消費者目線で考えた際の話であり、経営の立場でみると、社会的な理解も得られそうな絶好の値上機会と考えることは、しごく全うです。

 

ブランド戦略的に再配達問題を考える。

再配達問題。これに対しては、宅配ボックスの設置促進、駅ロッカーやコンビニでの受取など、様々な工夫が進められていますが、中長期的視野で、すぐには無理でしょう。
では理想を追う前に現実的にどうすれば良いか。
まずは、初配達受取者と再配達受取者の差別化を図ることです。
一発で受取れる客と、何度か訪問してやっと受け取る客をランク分けすることが必要なのです。

再配達を有料化すれば良い。などという意見もありますが、ブランド戦略的に考えると、それはNGです。
顧客目線で価値を高めるためには、再配達依頼者を悪者扱いすることは決して得策ではありません。
ブランド戦略として、害を悪とするのではなく、利を善とする考え方が好ましいのです。
全体値上を決定したとしても、初配達で受け取った人が得するもしくは、従来通りのコストを維持できる仕組みであることが重要なのです。

 

では、どうしたら良いか。

例えばこんな方法があります。
「初配達で受け取った場合は、(再配達より)高率のポイント還元を行い、得たポイントは次回の発送時に割引等に使える。」
重要なのは、再配達が高くつくのではなく、初配受取で得をした『気分になる』仕組みです。これは、一発で受取ることのお得感に加え、受取人の会員化促進や、発送受注への競争力強化にも繋がります。

果たして、競争激しい運輸業界で、このような意識はあるのでしょうか。今後の動向に注目したいと思います。

 

 

追記:こんな記者会見だったら好感持てますかね…?

「この度Y運輸は、運賃の値上げを決定いたしました。約10%の値上げです。
これは、通販需要急増による人員不足及び再配達コスト増を補うためです。
しかしながら、従来通り初配達でお受取頂いているお客様へのご協力は大変心苦しく思います。
つきましては、新たなポイント還元サービスを導入することを決定いたしました。
初配達でお受取いただいたお客様には、XXポイントを還元。また、ご不在の場合でも営業所へお受取に来られた場合は、XZポイントの還元を行います。
このポイントは、次回発送の際に運賃の割引や、特典サービスに利用することが可能です。
今後とも初配でのお受取にご協力頂きますようお願い申し上げます。」

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