売れる商品は「なんとなく」を勝ち取っている。
夏の暑い日。
家族や恋人、友人、同僚とコンビニに行き、一緒にいる人がドリンクを買ったときは、「なんでそれにしたの?」と質問してみてください。
多くの人が「なんとなく…」と答えることでしょう。
パッ聞くと理由なんて無さそうで適当な印象を受けますが、よくよく考えてみると多くの人が購買行動を起こす最強の理由だと言えます。
もし、多くの人が口にする「なんとなく」の正体を突き止め、勝ち取ることがきれば色んなことが上手く行くかもしれません。
●「なんとなく」の正体とは?
「なんとなくこれにした」
「なんとなく決めた」
「なんとなく美味しそうだったから」
これらの場合の「なんとなく」とは脳内オーディションでの結果のことです。
人々が生活する上で常に行われているため、その存在は普段あまり意識することはありませんが、五感から得た情報で瞬時にオーディションを開催し、最終候補選定が行われているのです。
●例えば …
東京都内、仕事で外回りをしていた夏の暑い日、汗をかき喉が渇いたので、冷たい飲み物を買いにコンビニへ入りました。
水やお茶などさっぱりとゴクゴクいけるドリンクを求めショーケースの前に立ちました。
※この瞬間から脳内オーディション「なんとなく」が開催されています。
第42518回 ドリンク選びオーディション
・開催日:夏の暑い日
・時間帯:日中(仕事中)
・会場:都内のコンビニエンスストア
・参加資格者:冷えた飲み物
・参加規定:甘さ控えめでさっぱりしていること
・アピールタイム:2〜3秒
・審査方法:陳列棚を見て審査
審査の結果、A社のXX茶を選びました。
●「なんとなく」は何でできてる?
なんとなくは、次のような様々な要素や条件で構成されています。
選ぶ人の気分・体調・眠気、これまでの経験・体験、気温、湿度、場所、季節、曜日、時間帯、飲料の種類、想像する味、ボトルの形状・サイズ、商品の雰囲気・存在感 …
●「なんとなくオーディション」を勝ち取るためには
まずは、オーディションの開催状況を把握し、参加資格をクリアする必要があります。
そして、主催者の好みの商品を参加させ、わずか2〜3秒でしっかりとアピールをする…
つまりは、
・市場、外部環境などを把握する
・市場に則したターゲットを適切に定める
・ターゲット需要を見据えた商品を置く
・視覚に訴えかける効果的なデザインをまとわせる
となります。
どれも重要ですが、せっかく良い準備を整えても、最終段階の視覚審査でつまづいてしまっては全てが台無しになってしまいますので、他の候補者に負けないしっかりとしたデザイン開発が特に必要です。
つまり、視覚審査で商品の大部分を判断される「なんとなくオーディション」はデザインによって大きく左右されるのです。※1
また、最も重要なことは、オーディションに合格した後に主催者の期待に答える中身であることです。合格後にしっかりと好印象を残すことができれば、次回のオーディションに非常に有利にはたらくことでしょう。
そして、その積み重ねは、いつしか「なんとなく」を卒業して、「はっきりと」した指名買いを生み出すかもしれません。
※1 デザインとは見た目のことだけではなく、人々がより良い生活・行動をするための設計・計画、それに伴うモノやコトの全般を指します。