高くてもバカ売れする理由
世の中には高くても売れるものがあります。
今回取り上げるのは、いわゆる高級品ではなく、身近で最近よく見る「プレミアム○○」や「金の○○」といった、これまであった通常ラインナップより少し価格を上げたちょい高級路線の商品です。
ふだん買っている商品にプレミアム版が出ていたら、あまりお財布事情と照らさずに、つい手を出してしまう人も多いのではないでしょうか。
なぜ普段より高いにもかかわらず買ってしまうのでしょうか。
それは、ほとんどの人は消費することを欲し、贅沢な暮らしを求める傾向にあるからです。
そして、多くの人は「高い=良い」と思い込む心理を持ち、高価版であれば良いものだろうと期待を込めて購買します。
「高価」として提供されたものに、少しでも差を感じては「お、これは違う!」と贅沢を感じて、満足するのです。
当然のことながら、価格ほどの価値を感じることができなければ、信頼を損なうことになります。
● プレミアム商品の本当の狙い?
多くの場合は、通常商品とプレミアム商品との差別化をはっきりさせています。
コンビニのフライドチキンは部位を変えたり、ビールであれば濃さを変えたり、布製品であれば全く違う素材で肌触りを変えたり…
冷静に考えると、従来の商品コンセプトから外れてないかと感じたり、全くの別商品ではないかとツッコミを入れたくなる商品もあるほどです。
こうした商品展開の多くは、売上げを拡大することのほかにもうひとつ重要な狙いがあります。
プレミアム版を試した後に「たしかに違うけど私はいつものでいいや」と思う人に対して、いつもの商品を見直す機会を作り、通常製品への忠誠心を高めることです。
●ちょっと専門的に考えてみると…
消費者の価格への感じ方は、PSM(価格感度測定)という方法で、4つに分けることができます。
- 最高価格 … これ以上高い値をつけると誰も買わなくなる価格。
- 妥協価格 … 少し高く感じつつも妥協できる価格。
- 理想価格 … 消費者が望む理想的な価格。
- 最低品質保証価格 … これ以上安くすると品質を疑ってしまう価格
高いにも安いにも理由がなければ疑いを招く恐れがあります。
商品企画やプライシング(製品やサービスの価格を決めること)の際に、どこの価格感度を狙うかを戦略立てし、いかにそのレベルに適した宣伝方法・コピー・デザインを計画していくかが成功の鍵と言えるのではないでしょうか。